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特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その14 (小説)

楓が覇斗の方へ向き直った。太陽のように明るい笑顔である。覇斗は胸がジーンと熱くなるのを感じた。


 どこか喉の辺りに締めつけられるような感覚があり、自分の鼓動が急に大きくなったような気がする。楓の美しい顏から目が離せない。


「助けてくれて、ありがとう」

 覇斗は近づいてくる楓に向かって、やっとそれだけ言った。












投稿者:クロノイチ

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[ 2016/08/31 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その13 (小説)

覇斗のクール・リーディングは、相手が同調してこない場合でも、そのまま基本的な攻防の構えとして用いられる。


 その状態から相手のどのような動きにも的確に対処できるような訓練を積んできたのだ。

 
 それゆえ楓の攻撃は、覇斗にカウンターを取られないギリギリのレベルを狙っていた。無茶をせず、トリッキーな動きで覇斗の意識を散らすところに重点を置いている。

 楓が覇斗に勝つ時のパターンは幾つかあるが、ほとんどは親指の長さの優位性を生かしたものだ。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/29 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その12 (小説)

モニターにはちょうど準決勝第一試合のハイライトシーンが映し出されていた。

 
 窮地に立たされた楓が、大逆転の一本勝ちをもぎ取るまでの一連の場面だ。


「よく勝てたもんだわ。やっとやっとだったわね」

「お互い大苦戦だったな」

「二人とも決勝に出られて本当によかった。これであたしの願いが三分の一ほど叶ったわ」

 楓が感慨深げに覇斗を見る。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/26 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その11 (小説)

ブザーが鳴った瞬間、楓は落胆と怒りが入り混じった複雑な表情でモニターを見つめていた。


 そして、微かにホッとした顏をしたかと思うと、次の瞬間、もう不機嫌そうに眉を顰めている。目の前の現実をどうにも受け入れ難い様子だった。


「よう、もう喋っていいか?」

 松之進が律儀にお伺いを立てる。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/23 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その10 (小説)

覇斗の反則を示すホイッスルが鳴り響いた瞬間、楓は悲痛な叫び声を上げ、足をドンと踏みならした。


「何やってんのよ、もう!」

 
観客席から自分がどう見えるかなど、楓は全然気にしていない。キースが隣にいれば少しはおとなしくしたかもしれないが、彼は現在、観客席でのんびり観戦モードである。

「よう」

 不意に声を掛けられてびっくりした楓が振り向くと、スポーツドリンクを持った松之進が立っていた。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/20 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その9 (小説)

モニターを見つめる楓の目が潤んでいた。


 試合時間は残すところあと一分。観客の目には、覇斗がずっと先手先手と攻め続けているため、優勢のように映っているに違いない。


 だが、楓は気付いていた。覇斗の繰り出す技が一切通用していないことに。

(丹念に攻めれば押さえ込むまではそんなに難しくない。体格差はあるけど、覇斗君のスピードと技術ならできる。だけど、押さえ続けるのは無理かも。クール・サムライディングを事前に知られたのが致命的。あたしならテン・タップレットで技ありまでは持っていけそうだけど、覇斗君は 『諦めた』 って言ってたっけ。これって、打つ手なしってことじゃない)












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/17 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その8 (小説)

大画面モニターに試合のリプレイ映像が映し出されている。


 覇斗は、試合終了間際の攻防を大画面で食い入るように見つめていた。

 (やはり早口カウントを完成させてきたな。それにあのテンポの小気味良さは……) 

 
 高速思考を駆使してモニターを見つめる覇斗には、その間の画面の動きがスローになって認識される。

「いち・にっ・さん・し・ご・ろく・なな・はち・く・じゅっ」

 覇斗の記憶にある楓のカウントの声が、映像にシンクロする形でゆっくりと再生された。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/14 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その7 (小説)

ピィッ、と短くホイッスルが鳴った。審判によるポイント認定の合図である。


 同時に白旗が水平に上げられ、キースの技ありであることが示された。無論、試合は中断することなく続いているため、楓達が旗に目を向けることはない。


 だが旗の上がる気配で、一瞬キースの気が削がれた。

 ようやく技ありを取り、楓に先行したことで微かに安心したのかもしれない。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/11 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その6 (小説)

技の名は 「サムズアップ・ボンバー」。

 
 キースはまだ、大会においてこの技を一度も使用していない。予選も可能な限り泥仕合を演じている。全ては自分の実力を低く見せて、楓を油断させるためだった。


「レディ! ──ファイト!」

 審判の声とともに試合が開始される。楓は予選とは打って変わって様子見から入った。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/08 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その5 (小説)

選手の集合、大会の開催宣言、市長の挨拶、ルールの確認などを経て、各選手は自分が属するブロックへと散っていった。


 楓と覇斗が視線を交わし、互いの健闘を祈り合う。

 
 時を置かずして予選が始まった。会場を揺るがす歓声と溜息。時折吹き鳴らされるホイッスル。

 場内アナウンスが勝利者名を告げるたびに、観客席の一角は大いに盛り上がった。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/05 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

特大家族 第三章 マケナイデ、ゼッタイカッテ  その4 (小説)

開会三十分前。覇斗と楓は控え室を出て大会会場である大体育室に入った。


 スタンドの応援席の一角に、宮城家の人々の姿が見える。結構な人数だった。


 いつもの家族の他に覇斗が見たこともない人物も混じっている。楓に尋ねると 「東馬伯父さん」 だという。

 毎年、お盆休みを利用して帰省しているのだそうだ。今日は、東京から直接この大会会場にやってきた模様である。












投稿者:クロノイチ





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[ 2016/08/02 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)