幻三郎旅日記 第二話 「決闘! 二十四 対 一」 その4 (小説)

二日後。 霧ヶ谷一風斎は、新たな当主となる人物の住む島にやってきていた。


 中国地方の日本海側に浮かぶ小さな島々のうちの一つである。名を御島という。


 海岸の周囲をぐるりと岩礁に取り囲まれており、その外側の海は一年を通してずっと波が荒いため、地元の漁師すら近づけない所だ。

 遙か遠い昔、御島は本州と陸続きだった。地殻変動で海中に没した岬の最奥部が、島となって残ったのである。

 その岬こそ、かつて岬護家と衛士によって守られていた、神の住まう聖地 「岬」 だった。












投稿者:クロノイチ





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[ 2017/04/18 23:45 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

幻三郎旅日記 第二話 「決闘! 二十四 対 一」 その3 (小説)

衣服に付いた返り血は、すっかり雨に洗い流されてしまっている。


 その雨は徐々に激しさを失い、今は霧雨だ。ずぶ濡れの幻三郎は、ようやく洞窟の入口付近にまでやってきていた。


「誰だ!」

 細かい雨粒の幕の向こう側、行く手に小さな人影がある。

「やはり来たな、弥陀ヶ原幻三郎」
 
 野太い声が雨音の中を突き抜けてきた。背の低い男が入口を塞ぐようにして立ちはだかっている。












投稿者:クロノイチ





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[ 2017/04/13 23:56 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

入試前日 (ショート・ストーリー)

桃の節句が終わったので、お雛様を片づけた。


 うちのお雛様は享保雛といって、かなりの年代物だ。段飾りなどというものはない。


 男雛と女雛だけである。冠をかぶせた状態で幅・高さともに四十センチ以上ある大きな人形ではあるが、二体のみということでセッティングや収納にはさほど苦労しない。

 ただ、相当高価な骨董品らしいので、若干取り扱いに困る。既に女雛の髪が一部抜け落ちているし、男雛の手の甲にヒビが入っている現状で、これ以上状態を悪化させないためにも、湿気やカビや虫食いには常に気をつけていなければならない。











投稿者:クロノイチ





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[ 2017/04/06 23:19 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)