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第五十三幕 光州5・18

笑顔が消えた婚礼写真    映画 『光州5・18』

 1980年。前年・10月、パク・チョンヒ大統領が暗殺された韓国では、同・12月にチョン・ド・ファンがクーデタで軍部を掌握したとはいえ、3月には、ソウルの春と呼ばれる、民主化のムードが各大学に高まっていた。

 が、5月17日。チョン・ド・ファン国軍保安司令官が権力を掌握し、全国に非常戒厳令を敷きます。さらに、空挺特別部隊を各大学に進駐させ、学生達の暴動にそなえるのでした。緑濃い、のどかな田園風景の広がる光州。チョンナム大学もまた、戒厳令の軍隊に囲まれました。

 そんな緊迫感とは無関係に、カン・ミヌ(キム・サンギョン)は、高校生で、ソウル大学をめざす、親が死に、二人だけでいる、弟ジヌ(イ・ジュンキ)と教会で一緒してる、お目当てのパク・シネ(イ・ヨウォン)と念願の、3人デートが叶い、映画館で、共に映画を楽しんでいました。

 映画も佳境に入ったとき、館内に催涙ガスが流れ込み、扉を開けて、逃げまどう学生が入ってきます。映画館の外では、異変が起きていました。チョン・ド・ファン辞任を連呼する学生たちに対し、軍は、情け容赦なく襲いかかっていたのでした。

 軍にこん棒で滅多打ちされる学生たちは血まみれ。逃げまどう学生たちすらも、しつこく軍隊に追われるのでした。慌ててその場から立ち去ろうとする市民の流れに押され、はみ出たシネも、学生と間違われ、しつこく戒厳軍に追い狙われてしまう程でした。

 翌日、ジヌが高校に行ってみると、親しい友人の机の上に、弔いの花があったのでした。

 この映画は、当時、暴徒として弾圧、射殺されながらも、実は、怒りに燃え立ち上がった、光州市民たちの、軍隊と戦った、光州事件の記録です。

 過去にあった、悲惨な出来事を忘れまいとする強固な意志が、映画を支えます。荒削りの、決して緻密に構成されつくしたとはいえないがさつな作りのこの映画が、それでも、われわれの目を離さないのは、理不尽な作戦によって命を奪われた人たちへの哀悼と、賞賛と、反省が窺えるからでもありましょう。

 みんなの笑顔で溢れた記念写真と、花嫁の笑顔が消えた、死後結婚写真。対比する二枚の写真が静かにわれわれにさとす、過去の物語は、重く心にのしかかるのでした。




投稿者: 今井 政幸 





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