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第六十四幕 コレラの時代の愛

純愛の放つ異様で芳醇な芳香    映画 『コレラの時代の愛』

『コレラの時代の愛』ポスター

 南米コロンビアの港街カタルヘナ。医師のフベナル・ウルビーノ(ベンジャミン・ブラット)が、木の上に逃げたオウムを捕まえようとして、転落する。

 優れたコレラ医師であり、街の名士であった彼の死は、教会の鐘の響きで町中に告げられる。

 鐘の音でフベナルの死を知るフロンティーノ・アリーサ(ハビエル・バルデム)にとって、コレラ医師は、彼が若くして恋したフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)の夫だった。

 51年9ヶ月と4日。

 フロンティーノは、この間、結婚したフェルミーナの夫の死をひたすら待っていた。

 1879年。電信局見習いでいたまだ10代のフロンティーノは電信の配達を命じられる。

 電報の配達先、最近、街にやってきたばかりラバ商人ロレンソ(ジョン・レグイザモ)の娘がフェルミーナだった。

 フロンティーノはフェルミーナに一目惚れ。得意の詩を配したラブレターをフェルミーナに送り続ける。

 やがて、フェルミーナもそれに応えて、二人の文通が続き、フロンティーノは、フェルミーナに求婚し、フェルミーナは求婚を受諾する。

 しかし、これを知ったロレンソは激怒する。無教養なロレンソは、母親を亡くした娘を金持ちの名家に嫁がせることだけを願ってわざわざ港町に越してきたからだった。

 電信局見習いとの結婚を認めないロレンソは、フェルミーナと共に、街を立ち去る。

 あきらめきれないフロンティーノは、彼らの転居先を見つけ、ひそかに、愛の電信をフェルミーナに送り続け、フェルミーナの帰還を待ち続ける。

 時が流れ、やがて、フェルミーナが街に戻って来たとき、フェルミーナからフォロンティーノへの思いは消えていた。

 コレラの蔓延する港街で、フェルミーナにコレラの疑いがかかった時、名医師フナベルが招請されたことから、フナベルはフェルミーナを見初め、やがて、フナベルは求婚するのだった。

 フロンティーノとの文通のやりとりのように、熱にうかれた愛をフェルミーナはフナベルに感じないながらも、父ロレンソの諸手をあげての賛同に後押しされ、しぶしぶながらもフェルミーナはフナベルとの結婚を承諾する。

 二人の結婚を知った、傷心をフロンティーノを見かねて母トランシト(フェルナンダ・モンテネグロ)は、亡き夫の弟でカリブ河川運輸会社を経営するドン・レオ(ヘクター・エリゾンド)に息子の就職を斡旋する。

 事情を聞いたドンは、川奥の勤務先を決め、フロンティーノは、船で勤務地に向かうが、船内で、唐突に、女性に船室に引き込まれ、初体験を経験する。

 自責の念を感じたフロンティーノは街に舞い戻るが、王冠を戴く女神フェルミーナは、パリへと新婚旅行に起った後だった。

 ひょんなことから、その後も、女性経験を重ねるフロンティーノは丹念に女性遍歴をノートに記録するのだった。

 622人。フロンティーノが女性との関係を重ねた時、フェルミーナの夫が死んだ。

 葬式の日、フロンティーノは、フェルミーナに結婚を申し込む。

 フェルミーナは、不謹慎なフロンティーノに激怒するが、フロンティーノのフェルミーナへの思いは募る一方だった。そして、・・・。

 フェルミーナに一目惚れしたフロンティーノのとる果敢な求愛行動は、フェルミーナが文通に応じるとはいえ、異様な、ストーカーまがいなうす気味悪さが付きまといます。

 フロンティーノ役は、10代を演じるウナクス・ウガルデから『ノーカントリー』の殺し屋ハビエル・バルデムへと変わります。

 フェルミーナへの思いを断ち切れないながらも、女性から言い寄られるだけではなく、平気で、自ら、女性に言い寄っていくフロンティーノ。

 数多くの女性との交渉が、次第に、フロンティーノに理想の、追い求めるべき女性像を明確にしていきます。

 それは、やはり、彼にとって、フェルミーナ以外の誰でもありません。

 この世で巡り逢うただ一人の女性との出会い。あたかも、約束されていたかのような運命的な出会い。

 その愛を成就することが、フロンティーノにとってこの世に生きてきた証でした。

 この世には愛がなければならない。非現実ともとれる夢のような愛の尊さの願いは、ですから、ついぞ、フェルミーナの父ロレンソにも、夫のフナベルにも理解されることはありませんでした。

 純愛の熱にうかされたフロンティーノだけが、フェルミーナに愛の必要さを説きます。

 裕福な恵まれた環境で、しかし、本当に幸福な人生だったかを問うフェルミーナにも、最後まで、愛を説き続けるフロンティーノにも、51年9ヶ月と4日は必要不可欠な時間でした。

 この時を経て、ようやく、愛の意味を知り得た二人の充足感がわたしたちの胸を詰まらせます。

 純愛の放つ異様で芳醇な芳香。映画「コレラの時代の愛」を堪能あれ。




投稿者: 今井 政幸 


→ 『コレラの時代の愛』 公式サイト



本作品のDVDと原作者・ガブリエル・ガルシア=マルケスの作品も要チェック!






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原作のマルケスの作品は『百年の孤独』しか読んでませんでしたが、これは映画を見てから、読んでみたいです。
[ 2008/08/24 13:57 ] [ 編集 ]

ノーベル賞作家の手によると、ストーカーまがいの行為も純愛に変わるから不思議ですわ。
[ 2008/08/24 19:31 ] [ 編集 ]

1988年正月過ぎ エイズ検査が日本に上陸したときは怖かった

そのとき考えたのが
①いきなり4つの体液にさわらないようにする
②ソープとかヘルスとかいってそうな裏友達と絶好する
③ヴェルヴェットアンダーグラウンド&ニコ
のバナナのジャケットと描いた
ヲーホールはHIVで死んだので
ヲーホールやロックハドソンの映画は見ないようにする

いやーこの年は怖くてディープキスが安全かどうか
論議されたとし。
20年間隠してたネタですが今日
初めて解禁します。

しらけないよう努力するので
よろしくお願いします。
[ 2010/01/05 16:37 ] [ 編集 ]

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