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第三幕 ハンニバル・ライジング

核心を避けた、映画「ハンニバル・ライジング」

 ハンニバルの誕生秘話を描いた映画「ハンニバル・ライジング」は、ハンニバルの殺人癖を復讐によって説明したため、ついぞ、ハンニバルの卓越した心理分析能力の源泉をわたしたちに明かさなかった。

 美しい復讐劇は、だから、美的に詩的に、彼の精神形成育成の日本文化をより幻想的に感性的に描写することとなり、実際とかけ離れてしまった日本文化の描き方はわたしたち日本人を戸惑わせる。

 しかし、映画制作者の狙いは、ハンニバルの思春期での異文化の出会いから触発されたハンニバルの美意識のめざめである以上、想像された日本文化像はまさしく正しく正確に映像化されている。
 能面とかのお面をいくつも縄でぶら下げる飾り付けは、わたしたち日本人からすればとうていありえないような配置なのだが、この場面こそが、もっとも制作者たちが描きたかったハンニバルの内面描写でもあろう。
 甲冑を鎮座する奥の間を隠蔽するような障害物としてあるお面群は、異様感を漂よわせ、美しい。

 映画制作者は、このシーンをただ物語として語るべきであった。この場面こそが一番ハンニバルの心の奥底に迫った再接近ポイントだったのだから。
 しかし、この美しい内面の奥底を暗示さすような場面は、いつしか、首切り絵巻にとって変わる。
 
 転調した生首絵図は、ハンニバルのもう一つの重要な精神形成ではあるのだが、以後、料理法として語られる部位のレシピと共に、あのハンニバルの卓越した犯罪者の心理分析能力形成秘話とは大きくかけ離れていく。

 今回、見事に明かされた、ハンニバルが「ゴールドベルグ変奏曲」を好む理由が、幾分、悪夢(心理)との接点を匂わせてはいるが、わたしたちを魅了する超人ハンニバルの知的解析能力秘話はついぞ明かされることがなかった。

 無念!の一作です。


投稿者: 今井 政幸


→ 「ハンニバル・ライジング」公式サイト


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こんなコメントがありました!

投稿者:今井政幸2007/5/4 19:29
コメントいくらでも長く書いてください。こちらも燃えますから。クラリスへの思いはミーシャへの投射もありかな、というのがわたしの今回を見ての連想でもあります。


投稿者:彗星2007/5/2 22:00
ぼくも見てきました!

このシリーズは好きなんですけどね。

今井さんの解説を読んでもやっぱり、海外の映画にあるあの日本の書きかたは、受け入れられないんですよね・・・・

そんなわけで、シリーズの中でこれは、好きになれませんでした。

レッド・ドラゴンもあんま気に入らなかったですけど・・・

「羊たちの沈黙」では、クラリスの心理面が書かれてて

「ハンニバル」では、クラリスとレクターの異形な愛?みたいなのを書いていて

この2作は、他の映画と違う味わいがあってDVDを持つほど好きなんですけどね。

コメ欄に自分の意見を長々と失礼しました!

http://blue.ap.teacup.com/suisei/

[ 2007/06/22 03:24 ] [ 編集 ]

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