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挑戦隊チャレンジャー・完全版 第一話 「襲来! コーヒー党」 その5 (小説)

クレーターの底のコスタリーカの目に輝きが戻った。


 おもむろに立ち上がった次の瞬間、背負ったリュックサックからのジェット噴射で地上に飛び出し、挑戦隊の行く手に立ちはだかる。 (しまった、退路を断たれた)

 
 レッドダージリンは自分の判断の遅さを悔やんだ。

「なかなかやりますね。あと五パーセント威力が大きかったら、あたくしといえども無事では済まなかったでしょうね。── でもここまでですよ」

 じりじりとコスタリーカが挑戦隊に迫る。レッドダージリンが固有武器の「トワイライトニング日刀(にっとう)」を取り出して構え、ブラックウーロンが「昇竜剣」を抜き放った。












投稿者:クロノイチ


「さあ、俺が食い止めている間に、逃げろ!」

「紅茶郎! てめえばっかりカッコつけるな!」




「ほう。威勢がいいですねえ」

 二人の渾身の剣を、金属の両腕で受け止めるコスタリーカ。

「──ですが、無駄ですよ」

 コスタリーカが腕を軽く振るだけで二人は吹き飛んだ。

「あなた方の実力では、足止め役すら無理ですね」

 圧倒的な絶望感が漂う。




「皆さん。もう一度スーパーチャレンジアタックです」

 鋭くグリーンリョクチャの声が飛んだ。

「何だって? あの技、効かなかったろうが!」

 ブラックウーロンが心底嫌そうな声で叫ぶ。




「それでも、通用する可能性が少しでもあるのは、もはやスーパーチャレンジアタックだけなんです」

 普段冷静なグリーンリョクチャが懸命に訴えた。

「そうだな。天才の玉郎が言う以上、それしかないんだろう。──よし、みんな! スーパーチャレンジアタックだ!」




 すぐさま挑戦隊はガッチリと円陣を組んだ。ブラックウーロンだけは仕方なくといった感じで、動きが少し緩慢だったけれども。




 挑戦隊が光に包まれて空中高く舞い上がる。

「スーツに残ったエネルギーは一回分だけです。泣いても笑ってもこれが最後」

「わかった、玉郎! ──行くぞ! レッ……」

「ブラックウーロン・スーパーチャレンジアタック!」

「おい龍! ずるいぞ!」

「先に言った者の勝ちなんだろ。──さあ、この俺の必殺技でコスタリーカをぶち倒すぞ!」




 火の玉が一直線にコスタリーカを目指す。




「またですか。何度でも受け止めて差し上げますよ」

 コスタリーカが自信タップリに地上で待ち構えた。




 スーパーチャレンジアタック・火の玉の内部。

「おい! このコース、また俺の頭が激突しちまうぞ!」

「お前の技だから、お前が決めるべきだろう」

「くっ、紅茶郎、根に持ってやがるな。──見てろ!」

「お、おい! 身体を揺するな! 反動をつけるのを止めろ!」

 レッドダージリンは泡を食った。まさかブラックウーロンが技の最中にスーツの自動制御を振り切って勝手に動こうとは、予想だにしていなかったからである。




「へっへっへ、紅茶郎! 円陣を回して、お前の頭で決めさせてやる!」

「そんなことさせるか! こうなりゃ俺だって!」

「あ、円陣がブレ出した。空中分解しそう」

 季彩が不安げに言うと、玉郎がすかさずこう言った。

「季彩さん、びすかさん。紅さんと龍さんの動きに合わせて、皆さんも同様に身体を動かしてみてください」

「え、なんで?」

「びすか! 時間がないわ。言われた通りにしましょう」

「後の微調整は私がします」




 空中を悠然と見上げていたコスタリーカは、遥か頭上の火の玉に異変を感じ取った。

(何だか火の玉が横に回転しているように見えますね。いや、これは紛れもない現実。──やや、段々と回転が速くなって……速くなって……速くなって……炎の渦と化しましたよ。あ、さらに速くなって、もはや炎の竜巻。ま、まさかこんな……、こんな!」




 そこにグリーンリョクチャの声が響き渡った。

「グリーンリョクチャ・スーパーチャレンジアタック・ファイヤートルネード!」




  

 凄まじい大爆発が起こった。炎が舞い大地が抉れる。強烈な爆風が吹き荒れ、周囲の木々や草を薙ぎ倒した。




 レッドダージリンが、新たに作られたクレーターの奥底を覗き込む。

「コスタリーカの最期だ」

 そこには爆発四散したコスタリーカの残骸があった。




「やりましたね」

 グリーンリョクチャがレッドダージリンに握手を求める。

「ああ、やったな。勝てたのは玉郎のおかげだ」

 レッドダージリンが一瞬の逡巡の後、手を差し出した。表向き、相手を讃えながらも、まんまと手柄を持って行かれたことを少し根に持っているらしい。




「ご苦労さん。何とか勝てたわね」

 ティーカップとソーサーを持った宗華が、核シェルターから悠々と出てきた。イエローカモミールとピンクハイビスカスが連れ立って迎えに出る。




「──ところで、黒烏君は? 姿が見えないけど」

「あ!」

 イエローカモミールは小さく叫ぶと、嗅覚を全開にして身体をクルリと三百六十度フルターンさせた。

「──そこです」

 慌てて指差した先には、先程の爆発で吹き飛ばされた土が山のように積もっていた。

 すぐさまピンクハイビスカスがそこを掘り始める。




「安心してください。心拍数は正常です。呼吸も問題なし。チャレンジスーツの酸素供給機能が生きている以上、二時間は埋まったままでも大丈夫です」

 グリーンリョクチャがレッドダージリンに報告する。ブラックウーロンはまたしても無事だったようだ。




「とはいえ、俺があんな目に遇うのはまっ平御免だ。結局、龍の奴が二度も貧乏くじを引いたんだな。とことん運の悪い奴というべきか」

レッドダージリンは嘆息した。──すると……。




「いえ、紅さん。これは必然です」

 グリーンリョクチャが平然と言い切ってみせた。

「何だって? 玉郎、お前、まさか狙って……」

「無論です。龍さんが適任だと思ったもので。何しろ龍さんは挑戦部で一番『頭が固い人』ですから」





 そして、物語は現在に戻る。




第一話 完 第二話に続く

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[ 2019/03/16 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

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