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我が街のヒーロー (ショート・ストーリー)

我が街にはヒーローがいる。

 
 数年前からのことなのだが、僕の住む街にこのところ頻繁に凶悪な怪獣が出現するようになった。

 
 だいたい一週間に一度は異なる怪獣が現れて大暴れする。

 自衛隊も歯が立たない怪獣ばかりだ。当然避難勧告も出た。


 でも誰も避難せずに、束の間の平和を楽しんでいる。 ── ヒーローがいてくれるからだ。











投稿者:クロノイチ


 ヒーローは、カッコいいマスクの細マッチョな銀色の巨人で、人間の味方である。我々をいかなる怪獣の脅威からも守ってくれる神のような存在だ。

 空を飛びプロレス技を使い、光線技を放って、たったの三分間で怪獣を退治してくれる。その上、どこへ持っていくのか知らないが怪獣の死体の始末までしてくれるのだ。ありがたいことこの上ない。

 あれ、でも……。

 そういえばこのところ怪獣出ていないな。こんなこと、怪獣が最初に出現してからというもの一度もないぞ。もう一か月も怪獣の姿を見ていないのか。ひょっとして絶滅したかな。

 ヒーローの雄姿を見られないのは残念だけど、平穏無事というのもいいものだな。

 駅を出て繁華街へ向かおうとすると、空の一点に巨大な光の球が出現した。これはヒーローの出現する前兆である。おっ、久々にお出ましか?

 にしても、おかしいな。怪獣は出ていないのに。

 地上に降り立ったヒーローの眼はどことなく血走っているように見えた。その口の端からはヨダレのような透明な液体が大量にこぼれだしている。

 ヒーローは舐めるようにあたりを眺め回し、やがて人があふれ返っているスクランブル交差点に、無造作に腕を伸ばした。 


 ああ、ヒーローにとって怪獣って、そういう存在だったのね。

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[ 2019/08/01 23:00 ] Menu:16 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

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