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ツッコミどころ多数 (ショート・ストーリー)

弟の好きな特撮戦隊ヒーロー番組が先週最終回を迎えた。
 
 
 と、思ったら今週また似たりよったりの新番組が始まる。どんなヒーローか知らないが、どうせあたしには見分けが付かないレベル。


 内容もきっとワンパターンである。
 
 弟はよく飽きずに見続けられるものだ。
 
 そんなことを弟に言ったら、「歳とったんだよ」 と笑われた。 いやいや、あんたが幼稚なんだよ。

「まあ、第一話だけ付き合って見てくれ。事前の情報じゃ、今年のはちょっと色合いが違うそうだぜ」

「焦げ茶色とか橙色とか出てくるの?」

「そういう意味の色合いじゃないけどな。ま、色物ってことだ」











投稿者:クロノイチ



 んで、始まったのが 「熊猫戦隊パンダジャー」。
 
 メチャクチャ語呂悪くない? これ。―― 「ジャー」 さえついてりゃ何でもよかろうって感じのやっつけ仕事。
 
 そして、番組が始まるやいなや、どうでもいいような設定の垂れ流しが始まった。
 
 絶滅の危機に瀕したパンダを救うべく、パンダの神である 「EXパンダー」 は、人間の身体にパンダの心を持つ五人の勇者を地上に遣わした。それがパンダジャーなんだそうな。

 ―― パンダの心って何よ。相当頭悪そう。

 
 以下パンダジャーたちの会話。

カン 「いいか、俺たちはパンダを護るためにやってきた」

フェイ 「じゃあ、人間を滅ぼすんだな。パンダが激減した原因は人間による環境破壊だ」

ラン 「え、人間と戦争すんの? 無理っしょ。あたしら、大規模戦闘の装備なんて持ってないじゃん」

カン 「人間を滅ぼすことはしない。確かに人間は自然にとっては悪だが、パンダが大好きで、パンダの保護には力を入れている。人間の力なくして、もはやパンダの未来はないといっても過言じゃない」

ホワン 「だったら、あたしたちは何をすればいいのよ?」

カン 「人間を護る」

フェイ 「マジか!」
カン 「ああ。パンダの保護は人間に任せておけばいい。俺たちの使命は、それを邪魔する奴らを倒すことだ」

ラン 「ふーん。── で、結局どこのどいつと戦えばいいのん?」

トン 「まあまあ、そんなことはどうでもいいから、メシを食おうぜ。―― さ、さ、笹をどうぞ。ぎゃはははは。どう? このギャグ」

ホワン 「今一瞬、あたしの心が ささくれ 立ったわ……」 

カン 「相変わらずマイペースなやつ……」

 
 続いて謎の組織 「フータ」 にて。 シルエットに包まれた首領が大勢の部下に向かって演説をしている。

首領 「同志諸君! 今こそ積年の恨みを晴らすときは来た。あの忌まわしき白黒のクマを滅ぼすのだ」

手下 「イ・レッサー!」

首領 「しかし、そのためにはまず、奴らを保護し宝物のように可愛がっている人間どもを排除しなければならん。困難な道のりだが、やり遂げるのだ、同志諸君!」

手下 「イ・レッサー!」

首領 「確かに人間の力は凄まじい。『人類はみな強大』というくらいだからな」
 
 手下、どよめく。

首領 「―― とはいえ、心配するには及ばない。私はかの魔神 『パンダグラフ』 に魂を売り、悪魔の力を手に入れた。それを諸君らにも分け与えよう!」

手下 「オー!」

首領 「思えば、奴らが発見される前は、『パンダ』 と言えば我らのことを指していた。我ら以外にパンダはいなかったのだ。なのにいつしかあの白黒のクマにパンダの名を奪われ、我らは 『小型のパンダ』 という意味の 『レッサー・パンダ』 という不名誉な名称を押しつけられた。馬鹿馬鹿しいことに、そもそも我らと白黒のクマは完全な別種である。奴らはクマ科、我らは不本意ながらレッサー・パンダ科だ。白黒のクマは元々パンダと呼ばれるべきではなかったのだ。―― さあ、同志諸君よ。ともに戦おう。戦って人間を退治し、白黒のクマから栄誉ある名前を取り戻すのだ」

手下 「イ・レッサー!」

 これのどこが 「謎の組織」 なのだろうか。

 さて、あたしを置き去りにして番組は勝手に進んでいく。弟はといえば、色々な場面で、テレビに向かって楽しそうにツッコミを入れていた。

五人 「行くぞ! レッツ・パンダ!」

弟 「お、やっと変身かよ。名乗りはどんな感じかな」


レッド 「真っ赤に燃えるオーラが目印。赤い閃光・パンダレッド。近寄ると火傷するぜ」

弟 「全身赤かよ。全然パンダじゃねえ!」


ブルー 「沈着冷静クールに決める、青い稲妻・パンダブルー。飛ばすダジャレも氷点下」

弟 「こいつもパンダじゃねえ! それにさっきとキャラ変わった!」


グリーン 「出たぞ役満、緑一色・パンダグリーン。親の四万八千点」

弟 「マージャンネタは、よい子の皆さんには通じねえぞ。その上、やっぱりパンダじゃねえ!」


ピンク 「何はともあれパンダピンク……」

弟 「手抜きかよ! しかもとことんパンダじゃねえ!」


ブラック 「黒い旋風・パンダブラック。この首元の三日月を、恐れぬのならかかってきやがれ!」

弟 「こいつ、ただのクマだろ。ツキノワグマじゃん。種を越えてパンダじゃねえ!」


五人 「我ら熊猫戦隊パンダジャー! パンダだけにパン大好き!」

弟 「好物は笹だろうが!」

 
 やっと番組終盤。
 
 あ、パンダジャーにやられた敵の怪人が巨大化したわ。またいつものパターンね。巨大ロボが出てきて剣で敵を真っ二つと。

レッド 「行くぞ、合体だ!」

ブルー・グリーン・ピンク・ブラック 「オッケー!」

五人 「大熊猫合体・シロクロドッキング!」

弟 「おお、五体のメカパンダが見事に変形・合体していくぜ。カッケー!」


五人 「完成! 『ジャイアントパンダ』!」

弟 「そのままかよ、名前!」


五人 「行くぞ、『バンブーソード』!」

弟 「ただの竹刀じゃねえか。うわっ、タコ殴りで敵をやっつけやがった。爽快感ゼロだぜ」


ブルー 「パンダゆえ、武器は竹刀に しない とな」

弟 「…………。―― この番組、打ち切りにならねえよな……」

 この出来じゃ、スポンサー、カンカン かも。きっとおもちゃも売れなくてせいぜい トントン ね。
 
 
ちなみに提供は 「パンダ イ」 でした。

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[ 2019/11/09 23:00 ] Menu:05 Anthony's CAFE 文化部 | TB(0) | CM(0)

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